※創世記(日本聖書協会 1955年改訳)

創世記 第 1章

  はじめに神は天と地とを創造された。地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。
 神は「光あれ」と言われた。 すると光があった。 神はその光を見て、良しとされた。 神はその光とやみとを分けられた。 神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。 夕となり、また朝となった。第一日である。
 神はまた言われた、「水の間におおぞらがあって、水と水とを分けよ」。 そのようになった。 神はおおぞらを造って、おおぞらの下の水とおおぞらの上の水とを分けられた。 神はそのおおぞらを天と名づけられた。夕となり、また朝となった。 第二日である。
 神はまた言われた、「天の下の水は一つ所に集まり、かわいた地が現れよ」。 そのようになった。 神はそのかわいた地を陸と名づけ、水の集まった所を海と名づけられた。 神は見て、良しとされた。 神はまた言われた、「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ果樹とを地の上にはえさせよ」。 そのようになった。 地は青草と、種類にしたがって種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ木とをはえさせた。 神は見て、良しとされた。 夕となり、また朝となった。第三日である。
 神はまた言われた、「天のおおぞらに光があって昼と夜とを分け、しるしのため、季節のため、日のため、年のためになり、天のおおぞらにあって地を照らす光となれ」。 そのようになった。神は二つの大きな光を造り、大きい光に昼をつかさどらせ、小さい光に夜をつかさどらせ、また星を造られた。神はこれを天のおおぞらに置いて地を照らさせ、昼と夜とをつかさどらせ、光とやみとを分けさせられた。神は見て、良しとされた。 夕となり、また朝となった。 第四日である。
 神はまた言われた、「水は生き物の群れで満ち、鳥は地の上、天のおおぞらを飛べ」。 神は海の大いなる獣と、水に群がるすべての動く生き物とを、種類にしたがって創造し、また翼のあるすべての鳥を、種類にしたがって創造された。神は見て、良しとされた。 神はこれを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、海の水に満ちよ、また鳥は地にふえよ」。 夕となり、また朝となった。 第五日である。
 神はまた言われた、「地は生き物を種類にしたがっていだせ。 家畜と、這うものと、地の獣とを種類にしたがっていだせ」。 そのようになった。 神は地の獣を種類にしたがい、家畜を種類にしたがい、また地に這うすべての物を種類にしたがって造られた。 神は見て、良しとされた。
 神はまた言われた、「われわれのかたちに、われわれにかたどって人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての這うものとを治めさせよう」。 神は自分の形に人を創造された。 すなわち、神の形に創造し、男と女とに創造された。
 神は彼らを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ」。 神はまた言われた、「わたしは全地のおもてにある種をもつすべての草と、種のある実を結ぶすべての木とをあなたがたに与える。 これはあなたがたの食物となるであろう。 また地のすべての獣、空のすべての鳥、地に這うすべてのもの、すなわち命あるものには、食物としてすべての青草を与える」。 そのようになった。 神が造ったすべての物を見られたところ、それは、はなはだ良かった。 夕となり、また朝となった。 第六日である。
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創世記 第2章 1-7

  こうして天と地と、その万象とが完成した。 神は第七日にその作業を終えられた。 すなわち、そのすべての作業を終わって第七日に休まれた。 神はその第七日を祝福して、これを聖別された。 神がこの日に、そのすべての創造のわざを終わって休まれたからである。 これが天地創造の由来である。
 主なる神が天と地とを造られた時、地にはまだの野の木もなく、また野の草も生えていなかった。 主なる神が地に雨を降らせず、また土を耕す人もいなかったからである。 しかし地から泉が湧きあがって土の全面を潤していた。 主なる神は土のちりで人を造り、命の息をその鼻に吹き入れられた。 そこで人は生きた者となった。
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創世記 第7章

  主はノアに言われた、「あなたと家族とはみな箱舟に入りなさい。あなたがこの時代の人々の中で、わたしの前に正しい人であるとわたしは認めたからである。あなたはすべての清い獣の中から雄と雌とを七つずつ取り、清くない獣の中から雄と雌とを二つずつ取り、また空の鳥の中から雄と雌とを七つずつ取って、その種類が全地のおもてに生き残るようにしなさい。七日の後、わたしは四十日四十夜、地に雨を降らせて、わたしの造ったすべての生き物を、地のおもてからぬぐい去ります。」ノアはすべて主が命じられたようにした。
 さて洪水が地に起こった時、ノアは六百歳であった。ノアは子らと、妻と、子らの妻たちと共に洪水を避けて箱舟にはいった。また清い獣と、清くない獣と、鳥と、地に這うすべてのものとの、雄と雌とが、二つずつノアのもとにきて、神がノアに命じられたように箱舟にはいった。こうして七日の後、洪水が地に起こった。
それはノアの六百歳の二月十七日であって、その日に大いなる淵の源は、ことごとく破れ、天の窓が開けて、雨は四十日四十夜、地に降り注いだ。その同じ日に、ノアと、ノアの子セム、ハム、ヤテペと、ノアの妻と、その子らの三人の妻とは共に箱舟にはいった。またすべての種類の獣も、すべての種類の家畜も、地のすべての種類の這うものも、すべての種類の鳥も、すべての翼あるものも、皆はいった。すなわち命の息のあるすべての肉なるものが、二つずつノアのもとにきて、箱舟にはいった。そのはいったものは、すべて肉なるものの雄と雌とであって、神が彼に命じられたようにはいった。そこで主は彼のうしろの戸を閉ざされた。
 洪水は四十日のあいだ地上にあった。水が増して箱舟を浮かべたので、箱舟は地から高く上がった。また水がみなぎり、地に増したので、箱舟は水のおもてに漂った。水はまた、ますます地にみなぎり、天の下の高い山々は皆おおわれた。水はその上、さらに十五キュビトみなぎって、山々は全くおおわれた。地の上に動くすべて肉なるものは、鳥も家畜も獣も、地に群がるすべての這うものも、すべても人もみな滅びた。すなわち鼻に命のあるすべてのもの、陸にいたすべてのものは死んだ。地のおもてにいたすべての生き物は、人も家畜も、這うものも、空の鳥もみな地からぬぐい去られて、ただノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。水は百五十日のあいだ地上にみなぎった。
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創世記 第8章

 神はノアと、箱船の中にいたすべての生き物と、すべての家畜とを心にとめられた。神が風を地の上に吹かせられたので、水は退いた。 また淵の源と、天の窓とは閉ざされて、天から雨が降らなくなった。 それで水はしだいに地の上から引いて、百五十日の後には水が減り、 箱船は七月十七日にアララテの山にとどまった。 水はしだいに減って、十月になり、十月一日に山々の頂が現れた。
 四十日たって、ノアはその造った箱船の窓を開いて、 からすを放ったところ、からすは地の上から水がかわききるまで、あちらこちらへ飛びまわった。 ノアはまた地のおもてから、水がひいたかどうかを見ようと、彼の所から、はとを放ったが、 はとは足の裏をとどめる所が見つからなかったので、箱船のノアのもとに帰ってきた。水がまだ全地のおもてにあったからである。彼は手を伸べて、これを捕らえ、箱船の中の彼のもとに引き入れた。 それから七日待って再びはとを箱船から放った。 はとは夕方になって彼のもとに帰ってきた。見ると、そのくちばしには、オリブの若葉があった。ノアは地から水の引いたのを知った。 さらに七日待ってまた、はとを放ったところ、もはや彼のもとには帰ってこなかった。
 六百一才の一月一日になって、地の上の水はかれた。ノアが箱船のおおいを取り除いて見ると、土のおもては、かわいていた。 二月二十七日になって、地は全くかわいた。 この時、神はノアに言われた、 「あなたは妻と、子らと、子らの妻たちと共に箱船を出なさい。 あなたは、共にいる肉なるすべての生き物、すなわち鳥と家畜と、地のすべての這うものとを連れて出て、これらのものが地に群がり、地の上にふえ広がるようにしなさい」。 ノアは共にいた子らと、妻と、子らの妻たちとを連れて出た。 またすべての獣、すべての這うもの、すべての鳥、すべての地の上に動くものは皆、種類にしたがって箱船を出た。
 ノアは主に祭壇を築いて、すべての清い獣と、すべての清い鳥のうちから取って、燔祭を祭壇の上にささげた。 主はその香ばしいかおりをかいで、心に言われた、「わたしはもはや二度と人のゆえに地をのろわない。人が心に思い図ることは、幼い時から悪いからである。わたしは、このたびしたように、もう二度と、すべての生きたものを滅ぼさない。 地にある限り、種まきの時も、刈り入れの時も、暑さ寒さも、夏冬も、昼も夜もやむことはないであろう」。
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創世記 第11章 1-9

 全地は同じ発音、同じ言葉であった。 時に人々は東に移り、シナルの地に平野を得て、そこに住んだ。 彼らは互いに言った、「さあ、れんがを造って、よく焼こう」。 こうして彼らは石の代わりに、れんがを得、しっくいの代わりに、アスファルトを得た。
 彼らはまた言った、「さあ、町と塔を建てて、その頂を天に届かせよう。 そしてわれわれは名を上げて、全地のおもてに散るのを免れよう」。
 時に主は下って、人の子たちの建てる町と塔を見て、言われた、「民は一つで、みな同じ言葉である。 彼らはすでにこの事をしはじめた。 彼らがしようとする事は、もはや何事もとどめ得ないであろう。 さあ、われわれは下って行って、そこで彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」。
 こうして主が彼らをそこから全地のおもてに散らされたので、彼らは町を建てるのをやめた。 これによってその町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を乱されたからである。 主はそこから彼らを全地のおもてに散らされた。


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